先日、公園で小学生の娘と一緒にラジコンの車2台で遊んだとき胸にジーンと来るものがありました。
こんにちは、ハイブリッド鍼灸師の平谷です。
イブプロフェン(鎮痛薬)と男性不妊について、インターネット上で、けっこうざわついている様子です。
私は鍼灸師で、医師でも薬剤師でもありませんから積極的に薬の話の出来る立場ではありません。
ですが、もとになった記事のイブプロフェンの摂取量だけが一人歩きして、いたずらに不安を煽るような記事も見られますので、平癒堂鍼灸なりのイブプロフェンと男性不妊に関する考えをお話ししたいと思います。
イブプロフェンの詳細に関しては専門家(医師または薬剤師)にご相談ください。
目次
もとになったCNNの記事
まず、もとになった記事がこちらです。
“CNN.co.jp:鎮痛薬のイブプロフェン、男性不妊に関係か”
https://www.cnn.co.jp/fringe/35112870.html
なかなかドキっとさせられるタイトルですね。ただ、私もブログのタイトルを考えるのに毎回苦労するので、タイトルをつける側の気持ちも分かります。なにせブログを読んでもらおうと思えば、読みたいと思わせるようなタイトルにしないと読んでもらえないわけですから…汗
でも、このタイトル、配慮も感じられます。
ちゃんと“~男性不妊に関係か”として、やたらに不安を煽るような表現にはしていません。
実験のイブプロフェン摂取量と日本で定められている用量
この記事の中に、イブプロフェンの摂取量と摂取期間について書かれています。
実験の被検者が摂取したのは、イブプロフェン600mgを1日2回、1日で1200mgです。
この実験のイブプロフェンの摂取量は日本の2倍です。
薬の“添付文書”(ものすごく詳しい薬の取説のようなもので、薬の販売会社に作成が義務付けられている公的文書)やインタビューフォーム(添付文書を補完するもので、これもものすごく詳しい取扱説明書のようなもの)によると、日本の場合は上限が1日で600mgです。
つまり、用法・用量を守っている限りは神経質にならなくてもいいのではないかと思います。
実験のイブプロフェンの摂取期間
そしてこのCNNの記事には、14日以内にホルモンのバランスが乱れて性腺機能低下のホルモン状態になるという意味のことが書かれています。
この実験では6週間もの間イブプロフェンを摂取しています。
アバウトな表現になりますが、実験の摂取期間はけっこう長いです。
1ヶ月以上も鎮痛薬を飲み続けるというのはそうそうないと思います。
そう考えると、妊活中の男性がイブプロフェンを服用すれば即不妊につながるというわけではないように思います。
しかも実験は1日1200mgです。日本での上限用量の1日600mgなら更に影響が少なくなる可能性があります。
*ただし、常用されている方は逆に注意が必要です。医師や薬剤師にご相談ください。
イブプロフェンの排泄
薬の代謝能力(薬を分解・無毒にして体外に排出する)は個人差があります。
イブプロフェンは24時間で約60%が尿中に排泄されます。(日本中毒情報センター)
おそらくこれのもとになっている論文は、これ↓
Mills, R. F. N. et al.:XENOBIOTICA, 3(9), 589~598(1973)
科研製薬株式会社のイブプロフェンのインタビューフォーム(添付文書を補完するもので、これもものすごく詳しい取扱説明書のようなもの)にも記述がありました。
200mgを1日3回(1日に600mg)経口投与とあります。
24時間で約60%が尿中に排泄されるとしています。
このことからも、何日にも渡って継続的にイブプロフェンを飲み続けない限り、さほど神経質にならなくてもいいように私は判断します。
妊活男性がイブプロフェンを飲んでも大丈夫か?
「妊活中の男性は、なるべくイブプロフェンを飲まないほうがいいでしょう。」
というのが平癒堂鍼灸なりの結論です。
しかし、妊活中の男性が用量以上の量を継続的(数週間以上)に飲み続ける場合は何かしらの影響がある可能性は否定できません。
ですから、たまたま頭痛があって、それでも今日は大事なプレゼンがある、仕上げてしまわなければならない仕事があるなどの場合、用量以内(日本では1日600mgが上限)イブプロフェンを飲んでも、それが即、男性不妊につながることはないと思います。
曖昧な表現にはなってしまいますが、イブプロフェンを定められた用量を超えて数週間にわたって飲み続けない限り大丈夫なのではないでしょうか。
男性不妊という文脈上でイブプロフェンに対して必要以上に神経質にならなくてもいいと思います。
【付録】CNNの記事のもとになった論文
長くなってしまったので付録にしてしまいましたが、こちらがそのCNNの記事のもとになったNAS(米国科学アカデミー)の機関紙であるPNASの論文です。モトネタの論文にご興味のある方はここから先をお読みください。
http://www.pnas.org/content/early/2018/01/03/1715035115.abstract
ブラウザで翻訳して、“全文”と書いてあるタブをクリックすると詳細が見られます。
PNASの論文の主旨は、ざっくり言うと、2つです。
イブプロフェンは、
「男性のホルモンバランスを乱す」ということと、「精巣(睾丸)の機能を低下させる」
ということです。
「イブプロフェンは、性腺機能が低下している時と同じようなホルモンの血中濃度を作り出す。」
つまり、ホルモンバランスに影響する。
「イブプロフェンは、精巣(睾丸)の複数の機能を抑制したり精巣での産生物の量を減らす。」
すなわち、精巣(睾丸)の機能を低下させる。
これらを実験の結果としています。
どの医療記事についてもいえることですが、根拠になる論文を分かりやすく伝えようとすると、どうしても正確さに欠けた表現になりがちです。
一部分だけがクローズアップされ、主旨が異なって伝わってしまうこともしばしばです。
ですから記事の内容を割り引いて読む必要があります。
最後までお読み下さりありがとうございます。
ED(勃起不全)でお悩みの方、男性機能の充実をお望みの方、妊活中の方(男性女性とも)はご相談ください。
相談無料です。
トリガーポイントアプローチと自律神経矯正鍼(じりつしんけいきょうせいしん)であなたの人生を楽しくする。
新大阪でED治療をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。
平癒堂鍼灸(へいゆどうしんきゅう) 平谷 透 E-Mail:shinq.th@gmail.com